事実婚とは|法律婚との違い・メリットとデメリット
2023.5.9
婚姻届などの法的手続きを行わず、籍を入れない事実婚。
昨今では、結婚のあり方や考え方が多様化してはいるものの、実際に事実婚を選択するカップルが身近にいるケースは多くはないのではないでしょうか。
そこでこのコラムでは、事実婚に関する基礎知識やメリット・デメリットなどを幅広くご紹介します。
事実婚とは
事実婚とは、結婚の法的な手続き、つまり婚姻届を提出せずに、事実上の結婚生活を送る状態を言います。
お互いに夫婦と同様の関係性を築いてはいるものの、戸籍上は本当の夫婦とはみなされません。
しかし、婚姻届を提出した結婚である「法律婚」と、同等の関係性が各機関に認められた場合、事実婚でも所定の制度を受けられる場合があります。
『事実婚』と『法律婚』の違い
まずは、事実婚と法律婚の違いを、一覧で見てみましょう。
婚姻届の提出
- 【法律婚】提出する
- 【事実婚】提出しない
戸籍
- 【法律婚】同一の戸籍
- 【事実婚】別の戸籍
住民票の続柄
- 【法律婚】「夫」「妻」
- 【事実婚】「夫(未届)」「妻(未届)」あるいは「同居人」など
姓
- 【法律婚】どちらかの姓を選択する
- 【事実婚】変更しない
子どもの親権
- 【法律婚】共同親権
- 【事実婚】基本的に母親のみ
相続権
- 【法律婚】あり
- 【事実婚】遺言書の作成や生前贈与を行うことで可能
配偶者控除
- 【法律婚】あり
- 【事実婚】なし
また、以下は法律婚の夫婦が受けられる制度ですが、事実婚の場合、一定の条件を満たすことで受けられるようになる可能性があるものです。
- ・健康保険の被扶養者
- ・国民年金の第3号被保険者
- ・遺族年金の受給
- ・生命保険の受取人
- ・住宅ローン
- ・携帯電話の家族割
- ・家族カードの作成
- ・自動車保険の家族割
- ・不妊治療の助成
事実婚のメリット
法律婚では当たり前に受けられる制度でも、事実婚では難しいケースも多くあります。
では、そんな事実婚を選択する上でのメリットはどのようなものがあるのでしょうか。
ここでは代表的なものを3つ紹介します。
自分の姓を名乗れる
法的な婚姻手続きを行わない場合、戸籍は変更されません。
今まで名乗ってきた自分の姓に思い入れがあったり、両親に姓の変更を躊躇われたり、家族によってもさまざまな状況が考えられます。
その他にも例えば、戸籍変更に伴い必要になる各種機関の氏名変更の手続きも不要になります。代表的な手続きに、以下のようなものがあります。
- ・運転免許証など、各種免許の変更
- ・パスポートの変更
- ・銀行、証券会社などの金融機関、キャッシュカードなどの名義変更
- ・マイナンバーもしくは通知カードの変更
- ・クレジットカードの変更
- ・保険の契約者、被保険者の姓の変更、受取人の変更
- ・携帯電話の名義変更
- ・保有資格の変更
すべての手続きが、オンライン上で簡略的にできるわけではありません。
役所で発行される書類が必要だったり、機関に赴く必要があったりと、手間がかかるものもあるでしょう。
このような手続きの煩わしさがないのも、事実婚の魅力となっているようです。
親戚や家族とちょうど良い関係性を築きやすい
嫁や婿として、相手の「家に入る」という考えを、窮屈に感じてしまうこともあるでしょう。
そんな時、相手の家族と程よい距離感を保ちつつ、ふたりの生活を優先することができるでしょう。
ふたりらしい夫婦の関係を築ける
法律上の「夫婦」となる「法律婚」をしない場合、自分たちは夫婦であると、第三者に証明するのが難しく感じることもあるかもしれません。
しかし、法律によって決められた定義ではなく、ふたりにとっての夫婦とはどういう定義なのか、どういう夫婦が理想なのかを話し合う機会も増えるはずです。
このような体験は、法律婚では味わえない貴重なものなのかもしれません。
事実婚のデメリット
次に事実婚を選択する上で生じるデメリットをご紹介します。
金銭面での負担が増える
法律婚を選択する場合、例えば「配偶者控除」や「扶養控除」といった、税金を軽減できる制度を受けられます。
その一方、事実婚の場合は、このような控除は認められていません。
同様に、遺産の相続や生命保険の受け取りも不可能です。
遺言書を作成することで、財産を引き継ぐことができる場合もありますが、相続税控除は受けられません。
このように、法律婚と比べて事実婚には、かなり大きい経済的な負担があることがわかります。
共同親権が持てない
法律婚の手続きを行った夫婦の間に、子どもが生まれた場合、夫婦ふたりに共同親権が与えられます。
一方、事実婚の状態で、子どもが生まれた場合、子どもは母親の戸籍に入ります。
同様に、子どもの親権も母親だけに与えられます。
つまり、法律上、父親との親子関係は認められないことになります。
親権を父親に変更したり、子どもの姓を父親の姓に変更したりなど、父親と子どもの親子関係を法的に認めてもらうためには、父親が子どもを「認知」する「認知届」の提出が必要です。
まとめ
結婚に対する価値観が多様化する中、事実婚は結婚の形のひとつとして受け入れられつつあります。
しかしながら、メリットだけではなく、課題とも向き合った上での選択であることがわかります。
事実婚を検討しているカップルは、最善の選択ができるようぜひこのコラムを参考に話し合ってみてくださいね。
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このコラムの監修者
アイネス ヴィラノッツェ宝ヶ池
「アイネス ヴィラノッツェ宝ヶ池」は、東証スタンダード上場企業(コード番号:3607)の株式会社クラウディアホールディングス・株式会社クラウディアコスチュームサービスが運営する結婚式場で、結婚に関連する様々なコラムを皆様にお届けしております。
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