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【扶養に入るor入らない】メリット&デメリット・条件・必要な手続きまとめ

2022.9.18

結婚を機に、職場を退職する場合、夫の扶養に入ることを考える人は多いのではないでしょうか。
けれど、この扶養には細かい条件があります。
また、メリットだけでなくデメリットもあるので、今一度家庭の状況と照らし合わせてから決める必要がありますよね。
そこで今回は、「扶養に入る」ことについて、基本的な説明から手続きに必要な書類まで幅広くご紹介していきます。

「扶養に入る」ってどういうこと?

本来「扶養」とは、生活の面倒をみることを指します。

国民皆保険制度のある日本では、何らかの健康保険に加入し、20歳を過ぎたら国民年金に加入する必要があります。
また、厚生年金保険に加入している会社で一定時間以上の労働をすると、厚生年金保険にも加入します。
このような保険を始め、各種税金の納税が法律によって定められています。

ですが、無職あるいは極端な低収入などの場合、このような税金の支払いは困難です。
このような場合、収入が無い(少ない)人が、誰かに面倒をみてもらい生計をたてたり、税金や保険料を免除してもらったりすることが可能です。
このことを「扶養に入る」と言います。

例えば、父親の収入で母親と子どもとの暮らしの生計を立てている場合、父親の立場からみると、母親と子どもは「扶養家族」となります。
また、母親と子どもにとっては、父親の「扶養に入って」いることになるのです。

扶養に入るメリット

扶養に入ると、税制上2つのメリットがあります。

①社会保険料を払う必要がない

退職後、夫の扶養に入ると、被保険者が夫となり自分自身は被保険者の扶養親族という立場になるため、支払いがなくなります。

②夫の所得税・住民税の負担が軽減する

所得税や住民税には「配偶者控除」という制度があります。
妻が夫の扶養に入ることで、受けられるこの制度は、配偶者がいるだけで税額が安くなります。

扶養に入るデメリット

扶養に入るべきかどうかしっかり見極めるには、デメリットもきちんと確認していきましょう。

①働き方や収入に制限が生まれる

扶養に入ると、働き方に条件がつきます。
そのため労働時間や働き方の自由度が下がってしまう可能性があります。

②受給できる年金の額が下がる

厚生年金に加入しないため、将来受け取る年金額が減ってしまいます。

扶養には2種類ある

扶養には、「税法上の扶養」と「健康保険上の扶養」があります。
それぞれ条件や内容が異なるので、詳しく確認していきましょう。

社会保険上の扶養に入る条件

  • ●配偶者であること(同居・別居を問わない)
  • ●年間収入が130万円未満(過去の収入ではなく、むこう1年間の収入見込み)
  • ●同居の場合…収入が夫の収入の半分未満
  • ●別居の場合…収入が夫からの仕送り額未満
  • ●給与所得などの収入があるなら、月額108,333円以下
  • ●失業保険を受給しているなら、日額3,611円以下

社会保険上の扶養の内容

  • ●妻の健康保険料は支払わなくて済む
  • ●妻の年金は、夫の加入する厚生年金や共済組合が負担
  • ●夫は1人分の健康保険料・年金を負担するのみ
  • ●夫の加入する健康保険組合から妻に対して被保険者証が発行される

ただし妻の収入が、130万円以上になると、社会保険上の扶養から外れ、妻が自分で社税法上の扶養に入る条件

  • ●配偶者であること
  • ●納税者と生計を一にしている
  • ●年間の合計所得金額が38万円以下(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)
  • ●自営業者の家族従業員になっていないこと

税法上の扶養の内容

  • ●妻の住民税や所得税を払う必要がない
  • ●妻の給与収入が103万円以下なら、夫は配偶者控除を受けられる(※)
  • ●妻の給与収入が103万円~201万円までなら、配偶者特別控除を受けられる(※)

※いずれも夫の年収が1,000万円以下の場合

もし妻の収入が100万円を超えた場合、扶養から外れて住民税を、103万円を超えた場合、所得税をそれぞれ支払う義務が生じます。

扶養に入れない場合

全ての人が扶養に入れるわけではありません。
条件を満たしているか、今一度確認してみましょう。

収入がすでに103万円を超えている場合(税法上の扶養)

年度の途中で退職し、現在無職であっても、退職したタイミングで収入が年間103万円以上の場合、その年に夫の扶養には入れません。
年間の収入が103万円未満であることが、税法上の扶養に入るための条件です。
ただ、社会保険上の扶養の条件は、現時点の収入ではなく、今後の収入が130万円未満です。

失業保険を受給している場合(社会保険上の扶養)

失業手当を日額で3,612円以上受給している場合、扶養に入ることができません。
年間収入見込み130万円以下が、社会保険上の扶養の条件です。

扶養に入る場合、手続きに必要な書類

退職後、夫の扶養に入る場合は、夫の勤務先へ書類を提出します。
退職した5日以内に、必要書類を揃え提出できるのが理想です。

必要な書類

  • ●夫の会社からもらう書類(健康保険被扶養者届(異動届)、国民年金第3号被保険者関係届など)
  • ●印鑑(新姓)
  • ●マイナンバーもしくは年金手帳(基礎年金番号)
  • ●源泉徴収票(確定申告時のみ)

※夫の勤務先によって、提出物が異なる場合があるので、できれば妻の退職前に必要なものを確認しておきましょう

扶養に入った場合、自分でやるべき公的手続きは?

扶養に入ると、自身で行う必要のある手続きが3つあります。

①住民税

前年度の所得に応じて翌年に支払います。
納付方法は、市区町村の役所から送られてくる納付書の案内に沿って行いましょう。

②確定申告

通常、税金を払い過ぎていた場合、企業が行う年末調整で、差額が戻ってくる仕組みです。
ですが、年の途中で退職すると、税金を払いすぎていても年末調整がされずにそのままになってしまうのです。
そこで確定申告をすることで、超過納税分は多くの場合返金されます。
面倒ではありますが、必ず申告しましょう。

確定申告が必要な人

  • ●結婚後退職して、夫の扶養に入った人
  • ●年の途中で退職し、年内に再就職しなかった人

確定申告に必要なもの

  • ●勤めていた会社でもらった源泉徴収票
  • ●確定申告書

③夫が配偶者(特別)控除の申請をする

年末ごろに、夫の会社で配布される「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」「給与所得者の配偶者控除等申告書」に、必要事項を記入し提出します。
配偶者(特別)控除を受けるためのものです。
※夫の年収が1,000万円以内の場合

まとめ

今回は、「扶養」について基本的なことから実際の手続きまでご紹介しました。
扶養次第で、収入や生活そのものはガラリと変わります。
ふたりの結婚生活について、じっくり考えた上で決めることをおすすめします。

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